アウディのA4、ステアリングを大きく切って動かすと異音がするとのご依頼です。

足廻りに限らずですが、異音の発生原因はいくつか定番があります。
特に国産車は定番箇所の修理で異音が収まることがほとんどですが、
輸入車は定番以外の異音が結構あります。
そして、定番から外れた場合の異音発生個所の特定はかなり困難です。

今回はステアリングを切ったときになるとのことなのでおそらく定番修理になるかと考えていましたが、音の質が全く違いました。

予想していたのはドライブシャフトブーツの破れにより発生する等速ジョイントからの異音。ステアリングを大きく切って前後に動いたときにコツコツと音がします。
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ところが今回の症状はステアリングを切って走行、ブレーキを踏んだ時にギャギャギャ・・・的な音。

音は車体に伝わって広がるのでそもそもの発生源はどこなのか、また、タイヤが地面についた状態で、車体の重量がかかる状態だからこそ足回りに加重がかかり音が発生するという条件なのですぐそばに耳を近づけて聞くこともできない。

こういう場合、条件から推測し、ある程度絞っていくしかありません。

足回り周辺からの音の発生は確認ができています。

リフトアップしてアーム類のガタがないか、ブッシュの抜けはないか、目視の確認では異常なし。
そのままリフトアップの状態でシフトをドライブレンジに入れてタイヤを回してみます。

異常なし。

タイヤが回転している状態でステアリングを大きく左右に切ってみます。

若干異音発生。

若干です。

ただ、この若干に車体の重量がかかるとギャギャギャ・・・が想像できます。

ステアリングを切ったときだけ音が発生するという条件なのでここはやはり等速ジョイントの損傷という判断になりました。

ちなみに等速ジョイントはブーツといわれるカバーがかぶっており、外からは確認ができません。

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新品の部品は高額なのでリビルト品を取り寄せました。

こちらは外した等速ジョイント
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やはりかなり焼けた跡がありました。
この後ボールをきれいに洗って確認しましたところ、かなり傷んでおり巣穴や焼け跡が確認されました。

新しい等速ジョイントに交換して異音はなくなりました。

文章で書くとすぐですが、ここまで結構な時間を費やしています。

故障修理は完全に原因を突き止めて修理するのが理想ですが、中にはそれが不可能な場合があります。
それをどこまで絞り込むかが私たちの腕の見せ所ですが、やはりお客様にきちんと説明し、状況をご理解していただいた上での作業を心がけています。

輸入車の修理、車検、板金、なんでもお申し付けください。